今週の紙上俳壇で、
「いいなあ」
と思った句の季語が気になりました。

【聖五月】
 シスターの産毛やわらか聖五月  邑南 高橋多津子(山陰文芸)

【薄暑】
 ラケットでシャトルを拾う薄暑かな  松原市 たろりずむ(読売俳壇)

【虹】
 虹消えてまた歩き出すランドセル  福岡 垣岡凡才(毎日俳壇)

【聖五月】
聖五月、あるいは聖母月の称は、
カトリックのマリアの月から来たもの。
  (『カラー図説 日本大歳時記』講談社)

疑問はますます深まる。

【薄暑】
初夏の候、少し暑さを覚えるくらいになった気候。
涼風や木蔭を欲する心持ちがかすかにうごきはじめる。
          (『合本 俳句歳時記』角川書店)
すこぶる明解。きわめて具体的。

【虹】
夏、夕立のあとなどに現れることが多い。
  (中略)
俗に朝虹が立てば雨、
夕虹が立てば晴と言われる。
朝虹は西、夕虹は東に立ち、
つねに太陽を背にして見ることができる。
虹は古歌に詠まれることははなはだ少ない。
      (『カラー図説 日本大歳時記』講談社)

古歌に詠まれる場合も、
名詞で詠まれることはなく、
いずれも「虹立ちて」「虹の立つ」と詠まれているらしい。
 村雲のたえまの空に虹立ちて時雨すぎぬるをちの山のは  藤原定家

 虹の立つ峯より雨は晴れそめて麓の松をのぼるしらくも  藤原親行

なるほど、なるほど、なるほど。