昨日の一日一冊は久しぶりの金子成人。
『ごんげん長屋つれづれ帖』(双葉文庫)の第五弾。

旬1

お勝が活躍すると必ず、
こんなふうになったらいいなという結末を迎えます。
  「あいつら河童に沈められたらいいんだ」
  幸助が、怒りにまかせて吐き出した。
  その幸助の頬をパチンと、お勝が叩いた。
  「今の一言は、ちっとも偉くないよね、幸助」
  お勝の怒声に、幸助はガクリと肩を落とした。

    お勝さんに三人の子供がいるのは知ってるだろう。
    手跡指南所に通ってる幸助とお妙ちゃんと、
    この前、大家さんの家で会ったお琴ちゃんだよ。
    周りの人はみんな知ってることだけど、
    あの三人の子供たちは、
    それぞれいろいろあって、
    あんたたちと同じ親とはぐれた孤児なんだよ。
    それをお勝さんが引き取って、
    これまで育てたんだ。
    世間にはそういう人もいるんだ。
    行った先で、
    もし嫌なことがあれば、
    お勝さんが雷を落としに駆けつけてくれるから、
    安心して行きゃあいいんだ。
  お六の話に、子供たちは黙った。

  「この話、受けようぜ」
  源七が静かに口を開くと、他の三人も頷いた。

予定調和の話に心が濡れます。