【お勝】2022・9・19
2022年09月19日
昨日の一日一冊は久しぶりの金子成人。
『ごんげん長屋つれづれ帖』(双葉文庫)の第五弾。
お勝が活躍すると必ず、
こんなふうになったらいいなという結末を迎えます。
「あいつら河童に沈められたらいいんだ」
幸助が、怒りにまかせて吐き出した。
その幸助の頬をパチンと、お勝が叩いた。
「今の一言は、ちっとも偉くないよね、幸助」
お勝の怒声に、幸助はガクリと肩を落とした。
お勝さんに三人の子供がいるのは知ってるだろう。
手跡指南所に通ってる幸助とお妙ちゃんと、
この前、大家さんの家で会ったお琴ちゃんだよ。
周りの人はみんな知ってることだけど、
あの三人の子供たちは、
それぞれいろいろあって、
あんたたちと同じ親とはぐれた孤児なんだよ。
それをお勝さんが引き取って、
これまで育てたんだ。
世間にはそういう人もいるんだ。
行った先で、
もし嫌なことがあれば、
お勝さんが雷を落としに駆けつけてくれるから、
安心して行きゃあいいんだ。
お六の話に、子供たちは黙った。
「この話、受けようぜ」
源七が静かに口を開くと、他の三人も頷いた。
予定調和の話に心が濡れます。