【続・水の歳時記】2022・10・3
2022年10月03日
『水の歳時記365日』の続き。
10月から3月までの半年で、
いいなあと思った句。
10/ 1 美しき雨ふりいでし雨月かな 倉田紘太
陰暦八月十五夜の月を「名月」、
雲に覆われて見えないときは「無月(むげつ)」、
雨に降られたときは「雨月(うげつ)」というそうです。
10/ 8 一粒の葡萄のなかに地中海 坂本宮尾
12/26 一夜(ひとよ)さは雨あたたかに年の暮 鈴木しげを
12/31 年の湯の湯気に消えゆく月日かな 吉屋信子
2/ 5 下萌ゆる力となりて降る雨よ 稲畑汀子
3/ 4 これよりは恋や事業や水温む 高浜虚子
大正五年、
東京商業学校(現・一橋大学)の卒業生へ向けて送った句です。
希望に満ちて旅立つ青年たちへ、
これからは恋や仕事など、
わくわくするような楽しみがたくさん待っていると、
その明るい未来を祝福します。
3/22 あがるまで見てゐたき雨 卒業す 下坂速穂
3/30 花は水にふれたく 水はゆくりなく 夏井いつき
流れに触れたくて散るように見える花も、
水からしてみると思いがけないできごと、
ということらしい。
考えてみたら、
世の中のたいていのできごとは、
こういうことなんだろうなと思います。