山脇百合子さんが亡くなったそうです。
今日の新聞で知りました。

奇しくも、
昨夜、読んだ小説に、
『ぐりとぐら』が出ていました。
青山美智子『お探し物は図書室まで』(ポプラ社)

  「きいろいかすてらが、ふんわりかおをだしました」
  えっ、カステラだった?
  私はずっと、ホットケーキだと思っていた。
     (「1章 朋香 二十一歳 婦人服販売委員」より)

高校からの友だちの「沙耶」が言います。
  ぐりとぐら?
  あの卵焼き作る話?

  えーっ、カステラなの?
  それって、
  普段から料理してる人の発想だよね。
  卵で何が作れるかわかってないと、
  思いつかない。

55歳のパートリーダーの「沼内さん」
  私、あの絵本、なかなか一筋縄ではいかないところが好きよ。

  卵は大きすぎてつるつるしてて運べないし、
  かたくて割れないし。
  おなべがリュックに入らないとか、
  次々難題にぶつかるじゃない。

  それで、
  ふたりでああしようこうしようって相談して、
  協力しあっていくのよね。
  あそこがホントに好き。

職場で知り合った25歳の「桐山くん」
  森の動物たちが集まってケーキ食う絵本でしょ。

「朋香」は思います。
  あんな短い話なのに、
  人によってどんな本なのかそれぞれが違うのだ。
  おもしろい。

  ロングセラーの絵本って、
  なんて偉大な力を持っているんだろう。
  ぐりとぐらは変わらない姿で、
  何世代にもわたって読む人を育てていくのだ。

絵を描いたのが妹の山脇百合子さん。80歳。
文を書いたのが姉の中川李枝子さん。87歳。
  私の方が先に逝くと思っていたけれど、
  先に逝かれてしまったという感じです。
  ぽかんとしています。

偉大な絵本を世に出した偉大な人だったのだ。