【老境】2022・10・15
2022年10月15日
今月号の「波」(新潮社)をめくって、
三枝昂之「掌のうた」に、
谷崎潤一郎の歌を見つけました。
老いぬれば事ぞともなき秋晴れの日の暮れゆくもをしまれにけり
三枝さんの解釈。
なんということもない秋空が暮れてゆくのも、
何故か惜しむ気持ちになってしまうのです。
老いたこの身には。
私の老境を代弁してもらった気がしました。
ところで谷崎は、
「短歌小便論」を唱えて、
元来歌は巧拙よりも、
即吟即興が面白いので、
小便をたれるように歌をよんだらいい(後略)
尿意を催したように、
ふと動いた心を、
短歌形式に導かれて素直に詠って(後略)
と言っていたそうです。