昨日の一日一冊は、
西加奈子『おまじない』(筑摩書房)

旬1

最後まで西條奈加の小説と思って、
違和感を感じながら読んでいました。

最後に巻末の作者プロフィールを見て、
そうだったのかと納得。
なんてこった。

  おばあちゃんもな、
  お前に呪いをかけたんと違うんや。
  お前のこと愛して、愛して、
  幸せになってほしかったんや。
  それは今も変わらん。
  死んでも絶対にな。
  裕子も息吹もな。
  それはそれは愛されたんや。
     (中略)
  お前がお前であること、
  例えばその髪の毛とか肌の色となか。
  それはもちろんお前が選ばれへんかったもんやけど、
  お前はその容姿やから、
  その血やからお前でおるわけやないねん。
  お前がお前やと思うお前が、
  そのお前だけが、
  お前やねん。  

こんなふうに、
ちょっと生きづらい人の背中を、
そっと押してくれる魔法のひとことが、
八篇の短編それぞれのどこかにあります。

最後に作者の言葉を紹介します。
  あなたを救ってくれる言葉が、
  この世界にありますように。