昨日の一日一冊は、
奥田英明『向田理髪店』(光文社文庫)

旬1

少し引用します。
  年寄りは淋しがっているなどと決めつけるのは、
  現役世代の傲慢な思い込みなのかもしれない。
  だいたい八十歳の母だって、
  毎日することもないのに、
  のほほんと生きている。
        (「祭りのあろ」)

  娘の幸せな結婚を願っているが、
  過疎地へ嫁ぐとなればどうしても反対してしまう。
  しかし、息子の結婚を思うと、
  それはそのまま自分に跳ね返ってくるのだ。
  まったく、どうしてこんな町にうまれたのか、
  ・・・若い頃から何度もつぶやいた言葉である。
                (「中国からの花嫁」)

過疎地はどこでもこうだろうという話ばかりだけれど、
現実にはこんな町はないだろうという思いも・・・。