昨日の一日一冊は、
佐川光晴『大きくなる日』(集英社)でした。

旬1

第8話「本当のきもち」は、
小学校の「わたしが生まれた日」という授業の話でした。

  親子の絆を再確認し、
  今後につなげてもらうとの趣旨にもとづく学習だが、
  ひとり親の家庭にとっては多くの問題をはらんでいる。
だからだろう、
  担任からわたされた父あての手紙には、
  授業参観で発表するかどうかは、
  親子で話し合って決めてもらいたいと書かれていた。

二年生の「良子」は、
この機会に、
母の死についてきちんと知り、
正しく向き合い、
その結果を発表してかまわないと思います。
  母が亡くなったあと、
  父ひとりでは子育てができないので、
  母方の祖母やおばが暮らすこの市に引っ越してきました。
  「おかあさんは、いつおうちに帰ってくるの?」
  とわたしがきくたびに、
  祖母やおばは涙ぐんだそうです。
  そのうちに、
  父と並んで母の写真に手をあわせるようになり、
  わたしは母が死んでしまったのだとおもうようになりました。
  きっと、
  母はこの発表を天国で聞いているとおもいます。
  母を悲しませないように、
  わたしはこれからもしっかり勉強して、
  友だちと仲良く元気にあそびたいとおもいます。

読みながら、
読み終えてから、
書き写しながらも、
しんとして物思いしました。