【大きくなる日】2022・11・5
2022年11月05日
昨日の一日一冊は、
佐川光晴『大きくなる日』(集英社)でした。
第8話「本当のきもち」は、
小学校の「わたしが生まれた日」という授業の話でした。
親子の絆を再確認し、
今後につなげてもらうとの趣旨にもとづく学習だが、
ひとり親の家庭にとっては多くの問題をはらんでいる。
だからだろう、
担任からわたされた父あての手紙には、
授業参観で発表するかどうかは、
親子で話し合って決めてもらいたいと書かれていた。
二年生の「良子」は、
この機会に、
母の死についてきちんと知り、
正しく向き合い、
その結果を発表してかまわないと思います。
母が亡くなったあと、
父ひとりでは子育てができないので、
母方の祖母やおばが暮らすこの市に引っ越してきました。
「おかあさんは、いつおうちに帰ってくるの?」
とわたしがきくたびに、
祖母やおばは涙ぐんだそうです。
そのうちに、
父と並んで母の写真に手をあわせるようになり、
わたしは母が死んでしまったのだとおもうようになりました。
きっと、
母はこの発表を天国で聞いているとおもいます。
母を悲しませないように、
わたしはこれからもしっかり勉強して、
友だちと仲良く元気にあそびたいとおもいます。
読みながら、
読み終えてから、
書き写しながらも、
しんとして物思いしました。