毎月届けていただく「波」(新潮社)は、
楽しみにしている連載小説が載っています。

伊予原 新「翠雨の人」がそれです。

「翠雨」は、
若葉のころに降る雨のことです。

「翠雨の人」、
今月号で第11回になりました。

中央気象台研究部の三宅課長が、
専修科で数学の授業をすることになった「勝子」たちに言います。
  専修科に迎える生徒だけでなく、
  あなたたちも一生懸命勉強しなくてはいけませんよ。
  ここでは確かに十分な研究はできない。
  だからといって遊んでいてはいけない。
  もう戦争は終わります。

  じきに戦争は終わるのですから、
  今のうちにしっかり勉強して、
  エネルギーを蓄えておくことです。

時は昭和20年6月、
処は疎開先の長野県。

先見の明でしょうか?
情報に聡いのでしょうか?
それとも、
確固たる信念でしょうか?

いずれにしても、
若い人を導くのは、
こういう人なのだろうなと思います。