届けていただいた「図書」(岩波書店)11月号に、
田中友子さんが、
「祖父のフハイカ」を書いています。

祖父・小川五郎さんは、
改造社の編集者だったそうです。

東京は空襲が激しさを増してきたため、
1945年の春、
祖母は三児を連れて、
夫の郷里に疎開することになります。
  ある有名な女流作家は、
  「ご主人さま、ご出征のこととお聞きして・・・」
  という毛筆でしたためた形式的な手紙を送ってよこしたそうだが、
  一方、
  宮本百合子さんは、
  空襲の合間に鉄かぶとを被って家へ駆けつけ、
    これは捨てなさい、
    これは五郎さんの大事な本だから田舎へもっていく、
    これは売ったらいい。
  と、夫の蔵書を一日がかりで仕分けしてくれたという。
  そういう百合子さんという人のことを、
  祖母は心から尊敬し慕っていた。

人間宮本百合子を見た思いがします。
人間というものの姿を見た思いがします。