【ななつのこ】2022・11・16
2022年11月16日
昨日の一日一冊は、
加納朋子『ななつのこ』(創元推理文庫)
辻村深月さんが本の帯に書いています。
初めて読んだ学生時代、
私は駒子のような人に、
加納さんのような作家に、
なりたかった。
この帯を読まなかったら買わなかったかもしれません。
「駒子」は短大の友人「ふみさん」に誘われて、
「ふみさん」の母校・区立第三小学校で行われる、
「低学年を対象とするサマーキャンプ」に、
ボランティアとして参加します。
そこで「真雪」という小学三年生に出会います。
「真雪」は誰とも混じらわず、
兎小屋の白い兎を一日じゅう見ています。
「駒子」は、
「小西先生」と呼ばれている、
ボランティアリーダーの「フツーのおばさん」から、
「真雪」の担当をお願いされます。
ふみさんはタオルを畳みながら、
私たちを見て笑った。
小西先生は人を見る目があるでしょ。
真雪ちゃんの友達に、
駒子ちゃんを選んだんだから。
後で彼女は、そう言った。
本当にそうだと思った。
きっと小西先生には最初からわかっていたのだ。
私と真雪ちゃんとが、
おんなんじだと。
(中略)
一番最後に車に乗ったまゆちゃんは、
窓からじっと私を見た。
そして車が動き出すと、
ばいばい、
とそのその小さな手を振ってみせた。
どうしてか、
涙があふれそうになった。
傍らの友人が、
ぽんぽんと私の頭を二度、
優しく叩いてくれた。
(「白いタンポポ」)
「真雪」が持参したタオルや着替えや洗面用具などの他は、
サマーキャンプがすべて用意した。
そうして、
学校にはいない「友だち」まで用意してくれた。