昨日の一日一冊は、
加納朋子『ななつのこ』(創元推理文庫)
旬1

辻村深月さんが本の帯に書いています。
  初めて読んだ学生時代、
  私は駒子のような人に、
  加納さんのような作家に、
  なりたかった。
この帯を読まなかったら買わなかったかもしれません。

「駒子」は短大の友人「ふみさん」に誘われて、
「ふみさん」の母校・区立第三小学校で行われる、
「低学年を対象とするサマーキャンプ」に、
ボランティアとして参加します。

そこで「真雪」という小学三年生に出会います。
「真雪」は誰とも混じらわず、
兎小屋の白い兎を一日じゅう見ています。

「駒子」は、
「小西先生」と呼ばれている、
ボランティアリーダーの「フツーのおばさん」から、
「真雪」の担当をお願いされます。

  ふみさんはタオルを畳みながら、
  私たちを見て笑った。
    小西先生は人を見る目があるでしょ。
    真雪ちゃんの友達に、
    駒子ちゃんを選んだんだから。
  後で彼女は、そう言った。
  本当にそうだと思った。
  きっと小西先生には最初からわかっていたのだ。
  私と真雪ちゃんとが、
  おんなんじだと。
    (中略)
  一番最後に車に乗ったまゆちゃんは、
  窓からじっと私を見た。
  そして車が動き出すと、
  ばいばい、
  とそのその小さな手を振ってみせた。
  どうしてか、
  涙があふれそうになった。
  傍らの友人が、
  ぽんぽんと私の頭を二度、
  優しく叩いてくれた。
       (「白いタンポポ」)


「真雪」が持参したタオルや着替えや洗面用具などの他は、
サマーキャンプがすべて用意した。
そうして、
学校にはいない「友だち」まで用意してくれた。