昨日、読み終わった一冊は、
加納朋子『ななつのこ』(創元推理文庫)

旬1

  小さなプラスチックのスプーンで、
  いっぱいに開いた可愛らしい口許に、
  ソフトクリームを運ぶ母親。
  鼻までクリームでべとべとにしてしまった男の子の顔を、
  ティッシュ拭いてやる母親。
  なんだか一番素直な幸せの姿が、
  そこにある。
      (「一万二千年後のヴェガ」)

  ぽつぽつと、
  出迎えの母親たちが集まり始めた。
  子供たちは顔を紅潮させて、
  前日のキャンプファイヤーや、
  体育館で眠ったことなどを話している。
  興奮して甲高くなったその声の間を、
  そうなの、
  よかったわねえ、
  という母親たちの柔らかい声が、
  羽毛のようにふわふわと漂った。
          (「白いタンポポ」)

いささか時間がかかりました。
しばらくなじめませんでしたが、
読み終えてみて、
なかなかに奥の深い話だったなと思いました。

それで、
本の帯にあった三冊を注文しました。
『魔法飛行』『掌の中の小鳥』『スペース』