【ななつのこ】2022・11・21
2022年11月21日
昨日、読み終わった一冊は、
加納朋子『ななつのこ』(創元推理文庫)
小さなプラスチックのスプーンで、
いっぱいに開いた可愛らしい口許に、
ソフトクリームを運ぶ母親。
鼻までクリームでべとべとにしてしまった男の子の顔を、
ティッシュ拭いてやる母親。
なんだか一番素直な幸せの姿が、
そこにある。
(「一万二千年後のヴェガ」)
ぽつぽつと、
出迎えの母親たちが集まり始めた。
子供たちは顔を紅潮させて、
前日のキャンプファイヤーや、
体育館で眠ったことなどを話している。
興奮して甲高くなったその声の間を、
そうなの、
よかったわねえ、
という母親たちの柔らかい声が、
羽毛のようにふわふわと漂った。
(「白いタンポポ」)
いささか時間がかかりました。
しばらくなじめませんでしたが、
読み終えてみて、
なかなかに奥の深い話だったなと思いました。
それで、
本の帯にあった三冊を注文しました。
『魔法飛行』『掌の中の小鳥』『スペース』