【老幼】2023・2・1
2023年02月01日
今週の紙上俳壇歌壇から、
老いと幼なの世界を選びました。
朝日俳壇
黒板も机も椅子も冬休み (大阪市)行者 婉
古日記よくもこんなに長々と (塩尻市)古厩林生
朝日歌壇
園児らが寄って集(たか)って吾の髪に紅葉を挿して逃げて行くなり (戸田市)蜂巣厚子
毎日俳壇
来る人なき門灯点(とも)し冬籠(ふゆごも)り 笠間市 伊藤邦夫
十二月八日静かに暮れてゆく 真岡市 小川 充
毎日歌壇
弟は泣きて登校厭(いと)ひけり見守る姉も道に泣き出す 神戸市 中林照明
亡きひとの留守番電話に残る声 タダイマチョットデカケテイマス 所沢市 山本 茂
読売俳壇
ジャムの蓋 開かぬさびしさ冬の朝 吹田市 前田尚夫
なんということもなけれど お正月 熊谷市 松葉哲也
里帰り焚火を知らぬ子を連れて 草津市 小川昭一
読売歌壇
新雪に目をしばたたき幼子が またひとつ知る美しきもの 名古屋市 今井史恵
校庭の銀杏の落葉 黄に染めて校内放送「滑らぬやうに」 前橋市 平林 始
キューキューと成長の音たてながら眠り続ける生後二カ月 横浜市 浜 厚子
山陰文芸
我つひに老いたりと思ふ事ありて一人こつそり ため息をつく 米子 倉井正喜
やうやうに襁褓(むつき)の取れて七五三 奥出雲 重親利行
いずれもいずれも、
それぞれがそれぞれに、
深く深くしみました。