原田マハ『消えない星々との短い接触』(幻冬舎)

旬1

昨夜は黒澤明でした。
玄関に迎えた「黒沢監督」が言います。
「早く上がって。いま、ちょうどいいとこなんだから」

テレビの録画が一時停止になっていて、
笠智衆と東山千榮子が防波堤に並んで座っています。
小津安二郎の『東京物語』でした。

久しぶりに、
私も『東京物語』を観たくなって、
深夜までYoutubeで観ました。

こんな場面がありました。
東山千榮子  十日もおさせてもろうて、
       子どもらみんなに会えたし、
       孫も大きゅうなってのう。

笠智衆  昔から子どもより孫の方が可愛いと言うけれど、
     おまえはどうじゃった?

東山千榮子  お父さんは?

笠智衆  やっぱり子どもの方がええのう。

東山千榮子  そうですのう。

もう一ヶ所、
土手で孫と遊ぶ東山千榮子が言います。
  あんたもお父さんのようにお医者さんになりんさるのかなあ。
  そのころ、おばあちゃんはおるかのう。    


この二か所、
痛切に心に残りました。