昨日の一日一冊は、
赤染晶子『じゃむパンの日』(palmbooks)

旬1

「サンデー毎日」(2.19‐26号)で、
高橋源一郎さんが紹介していました。

  去年の終わり近く、
  突然、赤染晶子さんの「新刊」が姿を現した。
  わたしは口コミでそれを知り、
  ネットで注文して、
  すぐに読んだ。
  それが、『じゃむパンの日』だった。
  そして、深く感動したのだ。
  というか、ほんとうにおもしろかった。
  こんなものを読みたかった。
  そう思ったのだ。

42歳で亡くなった赤染さんが、
生前、書き残したエッセイを集めたものです。

ここ、いいなあと思った個所を引用します。
  この夏、
  わたしは自身の芥川賞作品『乙女の秘密』を、
  この本屋で注文した。
  小さな本屋で入荷が遅れていた。
  店主は鼻息も荒く新潮社に電話した。
    まだですかいな!
    書いたはる人がほしい言うてはりますのや!
  店主が胸を張る。
    新潮社にぱあんと言うたりましたわ。
                (「かまい」より)

この本屋さんのことをこんなふうに書いています。
  京都の小さな商店街に小さな本屋さんがある。
  わたしの母は娘時代に、
  この本屋さんに下宿していた。
            (「かまい」より)

文章は歯切れよくテンポよく、
中身は本当におもしろい。