【一人称単数】2023・3・14
2023年03月14日
昨日の一日一冊は、
村上春樹『一人称単数』(文春文庫)
四阿(あずまや)の向かい側のベンチに座った老人が、
浪人生の「ぼく」に言います。
もう一回目をつぶってな、とっくり考えるんや。
中心がいくつもあって、
しかも外周を持たない円のことを。
きみの頭はな、
むずかしいことを考えるためにある。
わからんことをなんとかするためにある。
へなへなと怠けてたらあかんぞ。
今が大事なときなんや。
脳味噌と心が固められ、
つくられていく時期やからな。
(「クリーム」より)
『嵐が丘』の帯の言葉が頭に残っていたので、
この個所に感慨深いものを感じました。