芥川賞受賞作を「文藝春秋」九月特別号で読む。

市川沙央「ハンチバック」

苛立ちや蔑みというものは、
遥か遠く離れたものには向かないものだ。
私が本に感じる憎しみもそうだ。
公園の鉄棒やジャングルジムには、
運動能力のない私の身体がいくら疎外されていても、
憎しみは感じない。