よぶこえの引き出し

【ブログのブログ】「愚直」 2018・9・4(火)

2018年09月04日

【今朝の空】
この空にも、
昼過ぎには、
台風がやって来るそうです。

 【ブログのブログ】「愚直」 2018・9・4(火)





【愚直】
「広辞苑」第七版を開く。
  ぐちょく【愚直】正直すぎて気のきかないこと。馬鹿正直。

なんだか、
揶揄しているようにも聞こえますが、
私は、
この言葉が好きです。

人となりを表す言葉としては、
最も心に馴染(なじ)みます。


再度、
「広辞苑」第七版を探す。
  やゆ【揶揄】からかうこと。からかい。


夜明け前から目が覚めて、
枕許(まくらもと)に置いていた文庫本を手に取りました。

「ちくま文学の森」シリーズの第二、
『心洗われる話』(筑摩書房)

 【ブログのブログ】「愚直」 2018・9・4(火)



いくつかの話を読んで、
どの話にも、
「心洗われる」というより、
「愚直な生き方」を感じました。

  ただ彼らには子供がなかった。
  それが深い歎きの種だった。
  だが、
  その子供もやっと授かった。
  男の子でジャンと名づけた。
  そして彼らは、
  一時間も子供を見ないではじっとしていられないほどの可愛がりかたで、
  深い愛で我が児(こ)を包み、  
  かわるがわる子供を愛撫(あいぶ)した。
  
  夕飯の時刻に、
  食卓につこうとした車大工と彼の妻は、
  いつのまにか、
  子供が家にいないことに気がついた。

  子供は二度とは見つからなかった。

  あんなに昔から、
  彼らの手を逃げ廻った幸福が、
  寝ているまに、
  またもや彼らを見捨てはしまいかと惧(おそ)れて、
  彼らは思い切って寝ようとさえしなかった。

  けれど彼らは、
  しつこい不幸を使い果たしていた。
  彼らは死ぬまで幸福だったからである。
             (モーパッサン「聖水授与者」)


  彼はかつて、
  一度も、
  冨の源泉に遡(さかのぼ)って考えたこともなければ、
  また、
  人の地位の平等を考えたこともないのであった。
  彼は、
  もしもこの世が苦の世であるならば、
  あの世は楽の世であるに相違ないと信じきっていた。

  要するに、
  彼は神を恐れ、
  聖母を深く信仰している正直者であった。

  ・・・心、愚直なる者は幸(さいわい)なるかな。
         彼ら神を見るべければなり・・・
              (アナトール・フランス「聖母の曲芸師」)


愚直なるが故に、
幸いを見ることができ、
神を見ることできるということなのかな?




【昨日の黄昏れ】

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