よぶこえの引き出し

【ブログ】「石巻みやげ」2018・12・20

2018年12月20日

【石巻みやげ】
石巻駅の近くのカフェで、
コーヒーを飲みながら、
お店に並んでいた本から、
一冊を手に取って、
しばし読みふけりました。

その本を仙台の書店で買って帰り、
昨日、
一日かけて読みました。

鈴木勇一郎『おみやげと鉄道~名物で語る日本近代史~』(講談社)

 【ブログ】「石巻みやげ」2018・12・20



ご当地のお土産、
あらゆるものがそうであるように、
栄枯盛衰、
流行廃りはありますが、
今も良く知られている土産が、
数多く取り上げられています。

しかも、
世相や風土と関連づけて、
極めて丁寧に資料を求め、
その土地土地に足を運んだ、
きちんとした研究書です。

石巻で読んだのは、
仙台の「萩の月」のみでしたが、
その他にも、
京都の「八つ橋」
広島の「紅葉まんじゅう」、
伊勢の「赤福」、
鎌倉の「鳩サブレー」、
大垣の「柿羊羹」、
道後の「ぼっちゃん団子」、
札幌の「白い恋人」、
東京の「東京ばな奈」、
などなど・・・。

お土産の盛衰に、
鉄道が果たした力の、
なんと大きいことか!


この本のエキスかと思われる処を、
一箇所のみ引用します。
  高度経済成長期を堺に、
  社会や交通、
  旅行のあり方など、
  おみやげを取り巻く環境は、
  大きく変動した。
  だが、
  それでもなお、
  日本独特の名物の特徴、
  おみやげの風習が、
  しぶとく生き残ってきた姿を確認することができた。
  少なくとも、
  日本でおみやげとして成立するためには、
  その土地にまつわる何らかの由緒や来歴による「名物」化が必要であり、
  それを人に配るという風習は、
  基本的には変わっていないのである。
  これは、
  欧州のスーベニアなどはもちろん、
  必ずしも「名物」化を重視しない中国など東アジアのおみやげ文化とも、
  大きく異なっている。

「スーベニア」
この本には、
こんなふうに説明されています。
  現在日本語の「おみやげ」の英訳としては、
  通常souvenir(スーベニア)が当てられているが、
  この二つは厳密には別ものである。
  フランス語のsouvenir(スーベニール)に由来するスーベニアということばは、
  旅に出かけた当人の思い出としての意味が強いものなので、
  「おみやげ」とは言意に相当の違いをはらんでいる。
  

石巻、
女川、
仙台に旅して、
その土地その土地で、
あの人この人に出会って、
いろんなお土産をいただいて帰りました。

パンや饅頭、
アップルパイや人参ジュース、
明太子、
カレンダー、
ゆるキャラグッズ、
リュックが嵩張るほどに・・・。

親切、
懇意、
歓待、
惜別、
期待、
そうした無形のおみやげも・・・。

お話もたくさんしました。
それも得難いお土産でした。

夢もありました。
願いもありました。
辛いことも苦しいことも聞きました。
その中には、
愚痴もあり、
妬みもあり、
苛立ちも焦りもありました。
深い絶望も、
強い憤りもありました。
それらすべてが、
今回の旅のお土産でした。

『おみやげと鉄道』も、
その一つ・・・です。




【昨日の夕】

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【今朝の空】
比較的温暖です。

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