よぶこえの引き出し

【俳句】2019・5・1

2019年05月01日

《フランスの俳句》
今月号の「図書」(岩波書店)を読んでいたら、
フランスの俳句事情が載っていました。

小津夜景「ジャン・マリー・グリオの俳句を読む」

 【俳句】2019・5・1



  私は、
  この国の俳句愛好家のことを、
  さしずめインテリか東洋好きなのだろう、
  などといった古臭い偏見ではさすがに見ないまでも、
  いくぶん珍しい趣味の人くらいには思っていたのである。

  調査を始めてわかったのは、
  俳句がフランスにおいて、
  ごく平熱の娯楽であることだ。

  四季ごとに、
  出版社主催のコンテストもあれば、
  義務教育で学びもする。

「ごく平熱の娯楽」という表現が新鮮です。

ジャン・マリー・グリオの俳句を、
いくつか引用します。

スペルの上に付けるフランス語特有の記号を、
パソコンではできないので、
スペルのみの引用です。

  Au cinema
  Les acteurs s’endormet
  quand ca commence

フランス語は読めませんが、
当てずっぽうで、
フランス語的に読んでみると、
確かに五七五らしいまとまりです。

  
朝比奈弘治さんの訳が添えてあります。

  役者たち
  睡(ねむ)るシネマの
  幕開けに

なかなかの秀逸な句です。

後は、
日本語訳のみを引用します。
いずれもいずれも、
秀句です。

元の俳句が優れているからでしょうが、
訳もまた優れものです。

  ニューヨーク
  事務所を虹の
  渡りけり

  吸い込んだ
  空にフライドポテトの香

  僕が在る
  夢を見ている
  僕である 

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