【月が】2019・5・24
2019年05月24日
《月が》
真夜中、
窓の外が明るくて、
カーテンを開けたら、
中天に半月が懸かっていました。
《月の》
蛍の光、
窓の雪、
より明るいか暗いか、
比べたことはありませんが、
月の光でも、
本は読めないまでも、
本を探すことはできました。
冴え冴えとした月を感じながら、
手元にあった三冊を拾い読みしました。
村山リウ『源氏物語ときがたり』(主婦の友社)
佐野洋子『役に立たない日々』(朝日文庫)
古内一絵『きまぐれ夜食カフェ~マカン・マランみたび~』(中央公論社)
『源氏物語』を、
原文であろうが訳本であろうが、
「桐壺」の巻から読み始めると、
いっつも、
「若紫」の巻あたりで断念してしまいます。
掟破りで、
昨夜は、
最終章の「夢浮橋」の巻から読み始めました。
これが、
以外と面白い。
薫君(かおるのきみ)のことを書いた部分に、
こん箇所があって、
薫らしいなと思いました。
生真面目というか、
面白くないというか、
プライドの人というか・・・。
ほんとうに愛する女なら、
世間外聞を気にせず、
徹底的な配慮があってしかるべきではなかったか。
またしても微温的なわが態度が口惜しい、
と後悔の波だがこみ上げるのでした。
「微温的」?!
うまい訳だなあと感歎。
佐野洋子は、
『100万回生きたねこ』
「シズコさん』を書いた人。
無口な日本人は何を考えているかわかんなくて不気味だというが、
少ない言葉の向こうに広大な沃野が、
惻隠の情というものと共に広がっているではないか。
と私はえらそうな感想持った。
「言葉の向こう」の「広大な沃野」、
「惻隠の情というものと共に」、
ああ、いい表現だなあと感歎。
ラジオを聞いていたら、
四十歳の女が、
「給食の時、生徒に『いただきます』と云わせるのはけしかん」
と云われていたそうである。
誰かにいただいているのではい。
給食費をはらっている。
「うそーっ」と私は驚いた。
「そこんちは家でごはん食べる時もいただきますって云わないの」
彼女は最後に、
こう言います。
「何につけてもけじめってものがなくなったら人間おしまいじゃない」
最後は、
今ハマッている夜食カフェです。
そりゃ、
この世の中は複雑で冷たく、
思い通りにいかないことだらけよ。
仮面が必要なときだってあるわ。
でもね、
どれだけ意に沿わないことをしなければならなかったとしても、
自分の本心の隠し場所さえちゃんと分かっていれば、
人は案外、
自分の道を歩いていけるものよ。
「本心の隠し場所」?!
けだし名言!
《おまけ》
きのうの庭、
きのうの空。