よぶこえの引き出し

【菜根譚(さいこんたん)】2019・7・10

2019年07月11日

《菜根譚》
古本で買った古本を古本で読みました。
古本の匂いがしました。

『菜根譚』(徳間書店)
洪 自誠 著
神子 侃 訳
吉田 豊 訳

 【菜根譚(さいこんたん)】2019・7・10



洪 自誠という人、
中国の明の人だそうです。
日本でいえば、
戦国時代から江戸時代はじめの人です。

この本が日本に伝えられたのは、
江戸時代中期以降だそうです。

洪 自誠が生きた時代も、
江戸時代中期も、
矛盾に満ちた時代でした。
閉塞感漂う世の中でした。

今の世界も、
似たようなものです。


この本は、
前集と後集からできています。

前集は右肩下がりの時代を、
どのように生きていくかという処世術。

後集はそんな俗世間を離れての生き方。

おおまかにいうと、
そういう筋立てです。

私なりに、
この本の核心をいうなら、
それは、
質素・清貧と、
中庸・ほどほど、
・・・ということでしょうか?

少し引用します。
時代を隔てて、
国を超えて、
想像以上に役立ちます。

  他人の欠陥を批判するさい、
  あまりにきびしすぎてはならない。
  批判された人がそれに耐え、
  受け入れられるように配慮すべきだ。
  
  また、
  他人を指導するさいには、
  あまりに万全を求めてはならない。
  指導される人が理解し、
  ついてこられるようにくふうすべきだ。


  活動が行きづまり、
  手も足も出なくなったときには、
  出発点の心境を思いおこそう。
  出発点からしてまちがっていたのか、
  中途で初心を忘れてしまったのか。


  人格をきたえるさい、
  いちばん大切なのは、
  枯木や石ころのように、
  ものに動じない冷静な心を身につけることだ。

  これがないと、
  目前の誘惑に負け、
  欲望にふりまわされてしまう。


ものに動じない心の譬えとして、
枯木や石ころを持ち出しているところに、
私はこの上なく心引かれます。

  肝臓に故障がおきれば、
  目が見えなくなり、
  腎臓を冒されれば、
  耳が聞えなくなる。
  
  病気は、
  まず人の目のとどかぬところに生じて、
  その影響が表面にあらわれるのだ。

  人前に恥をさらしたくなければ、
  人の目のとどかぬところで、
  過ちをおかさぬこと、
  それが君子の心得である。


最後は、
家庭内のことです。
  見うちの失敗に対しては、
  あらあらしく叱りつけてはならないし、
  また、
  軽視して放っておくのもよくない。
  
  もし、
  言いにくければ、
  他のことにかこつけて反省をうながすがよい。
  
  一度で理解できなければ、
  また別の機会に注意せよ。

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