よぶこえの引き出し

【詩歌の森】2019・7・19

2019年07月19日

《詩歌の森》
久しぶりに、
芳賀徹『詩歌の森へ』を広げたら、
こんな一節に出会いました。

  太古の神々や天皇の歌から始まって、
  日本列島は、
  代々、
  詩歌の森におおわれてきた。

  いまでも、
  日曜日ごとに、
  新聞には、
  たくさんの短歌や俳句が寄せられている。

  これも、
  この国ならではのこと。
  
  山野の緑は減っても、
  言の葉はなお茂り、
  さやぎつづけているのだろうか。

 【詩歌の森】2019・7・19




《今週の新聞から》
ということで、
日曜日と月曜日の新聞から、
短歌と俳句を一つずつ。

朝日新聞
 好きな子に会うためだけにペダル踏む それでよかった高校の頃 (三田市)相良たま

 真っ先に帰省子 駅を出て来る (塩尻市)古厩林生


読売新聞
 紫陽花が雨にぐっしょり濡れている 私とことん泣けばよかった  たつの市 七条章子

 探し物ばかりしてゐる母の日よ  館山市 山下祥子


毎日新聞
 こんなにも寝顔見られていたのかと泣きて寝入りし幼を見つむ  香取市 嶋田武夫

 さくらんぼ食べ放題と言われても  城陽市 近藤好廣


山陰中央新報
 終電にまつ毛のとれた女客 残業したとひとりつぶやく  松江 福場てるを
 
 御仏飯高く盛りつけ豆御飯  江津 大屋八重子



《私は詩で・・・》

     なにかとっても
             中村清志
  隣に坐った人が
  今年も蝉が鳴き出しましたね
  と言う
  聞こえないので
  そうですね
  と聞こえたふりをする

  音域なのか
  振幅なのか
  振動数なのか
  そのあたりの音が微妙に聞こえない

  長い間
  日常的に
  なにかとっても
  大事なことを
  聞き漏らしているのかもしれない

  なにかとっても
  掛け替えのないものから、
  遠ざけられているに違いない 

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