【違う世界】2019・7・31
2019年07月31日
《今回は》
紙上歌壇。
今回は、
人を詠んだ歌を一首、
人以外に思いを寄せた一首、
そんなふうに選んでみました。
朝日歌壇
模擬試験第6志望まで書いて私が私じゃなくなっていく (富山市)松田わこ
人は子を時に殺める梅雨空をまっすぐ見つめ卵抱く鳩 (徳島市)上田由美子
読売歌壇
「ともだちかんけいうまくいきますように」と七夕飾りの短冊にあり 名古屋市 平野敦子
果物のシールに産地「イスラエル」あんな遠くからお前、来たのか 羽曳野市 鎌田 武
毎日歌壇
白内障の妹と手を繋ぎ街をゆくこんな時間のわれらに来るとは 吹田市 鈴木基充
恋をする少女のようにほつほつとレモンの花が実に育ちゆく 加東市 北岡清子
山陰文芸
臥す父の顔剃りさしあげその夜にみまかり最後の孝行となる 松江 高木 和
忘れられし傘のごとくに図書館の隅にいつもの古典全集 雲南 熱田一俊
テーマを決めて選んでみたら、
思いがけない世界が見えてきます。
視点が違うと、
同じ風景が違う世界になるようです。
《昨夕の空》
《今朝の空》