よぶこえの引き出し

【娘の結婚】2019・7・31

2019年07月31日

《娘の結婚》
娘が結婚した。

 【娘の結婚】2019・7・31



心の中は、
想定通りだった。
一言で言うなら、
「なんてことねえな」

さみしいなんてことなかった。
高校卒業と同時に親元を離れて一人暮らしの娘だったから。

いつも口にしてきた言葉が甦る。
「子どもは高校卒業までが勝負」
「とりわけ女の子は高校卒業後も同居するなんて稀有なこと」

そう思って、
手塩にかけて育てたつもり。

当の娘の言葉を借りるなら、
「何もそこまでしなくても・・・」
「そこまでするのは、さすがにどうかと思う」
・・・ようなことまで、
せっせせっせとやってきた。

子育てについて、
今にして思えば、
うまくいかないことも多々あった。
でも、
そんな中、
親としてできることは、
とことんやった気がする。

「娘が結婚して淋しいなんてあり得ない」
そう思ってきたが、
その時に及んで、
その場に臨んで、
まさに思ってきたそのままだった。


子離れ親離れは大学入学で完了した。

その娘が、
すてきな伴侶を得て、
これからは、
一人暮らしが二人暮らしになる。

むしろ安堵の人心地。


娘を取られるようで、
結婚にイチャモン付ける父親が、
よくテレビドラマに登場するが、
そんなことは欠片も無かった。


娘は最高の伴侶を見つけた。
よくやったと娘を誉めてやりたい。

彼に関して、
親として思うことは二つ。
「全幅の信頼」と「余人を以て替えがたし」

だから、
彼に伝える言葉は、
必要最小限度でよかった。
「親の口から言うのも何だけど、案外いいヤツだから、よろしくね」

宴(うたげ)がお開きになるそのとき、
何度も何度も彼の手を握った。

片手で握って、
両手で握って、
二人きりならハグしたい気持ちだった。


娘が結婚した。

いい伴侶でよかった。
いい家族でよかった。
いい友人たちでよかった。
いい式でよかった。
いい式場でよかった。
いい天気でよかった。
いいスタッフでよかった。
いい巡り合わせでよかった。

ちょっと回り道もした。
でも、
それがかえってよかった。
そのおかげで、
大事な出席者が一人増えた。

よく飲み、
よくしゃべり、
よく笑う人が・・・。

その日いちにち、
花嫁の父にさせてもらった。

 【娘の結婚】2019・7・31
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