よぶこえの引き出し

【幸福が遠すぎたら】2019・8・18

2019年08月18日

《さよならだけが》
約束の寺山修司の前に、
髙田郁から引用します。

  片や「さよならだけが人生だ」と言い、
  片や「さよならだけの人生ならいらない」と言う。
  正反対のことを言っているようでいて、
  その実、
  根っこは同じじゃないのか、
  と最近よく思うんだ。
     (髙田郁『ふるさと銀河線』双葉文庫)


人生別離足る
  于武陵(いぶりょう)「勧酒」

サヨナラ ダケガ人生ダ
  井伏鱒二の訳詩

さよならだけが人生ならいらない
  寺山修司「幸福が遠すぎて」

いよいよ、
その寺山修司を引用します。

     幸福が遠すぎたら
              寺山修司
  さよならだけが
  人生ならば
   また来る春は何だろう
   はるかなはるかな地の果てに
   咲いてる野の百合(ゆり)何だろう

  さよならだけが
  人生ならば 
   めぐりあう日は何だろう
   やさしいやさしい夕焼と
   ふたりの愛は何だろう

  さよならだけが
  人生ならば
   建てたわが家は何だろう
   さみしいさみしい平原に 
   ともす灯りは何だろう

  さよならだけが
  人生ならば
  人生なんか いりません
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