よぶこえの引き出し

【琴線に触れた一首】2019・8・22

2019年08月22日

《琴線に触れた一首》
今週の歌壇から、
琴線歌を一首ずつ。

朝日歌壇
 見つけたらすかさず抜いてきた草にこんな可憐な花が咲くとは (可児市)前川泰信

読売歌壇
 おさな児は雨音を聴きてねむりたり万緑の森の若葉もえたつ  山形県 小野俊博

毎日歌壇
 笑顔もて公務に励み 回復をされたる雅子さまに安堵す  西海市 まえだいっき

山陰文芸
 ファミレスの店員さんの言葉聞き ままごと遊びする子はまねる  雲南 高橋綟子





《琴線に触れた一文》
最近のTwitterから・・・。

  「仰げば尊し」って、佐藤さんの応援歌みたいだねって。
                  (大崎 梢「君の歌」)
ちょっと補足。
「仰げば尊し」
 ♪身を立て 名をあげ やよ 励めよ
 ♪今こそ 別れめ いざ さらば

 佐藤さんの名前が「やよい」


  母上、あなたの娘がひとり帰って来たようです。

ちょぴり補足。
 娘を病気で亡くした母親。
 それからの日々、
 日を追うごとに言葉数が減ります。
 そんなある日、
 息子が旅の途中で病に倒れた若い女をおぶって帰ってきます。
 約一ヶ月、
 親身に看病する母親の心に温かいものが灯ります。
 やがて、
 女は仇討ちのために他国に去って行きます。
 再び、
 母親は元の母親に戻ります。
 数ヶ月経って、
 あの若い女が、
 道の向こうから、
 白い歯を見せて駆けてくるのを息子が見つけます。
 母親を呼んで発した言葉がこれです。


   忘れよう忘れようと努力して、
   人間ちゅうもんは覚えているもんやなあ。
        (吉田修一「日曜日の新郎たち」)

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