よぶこえの引き出し

【そういえば】2019・9・4

2019年09月04日

《そういえば》
今週の紙上歌壇を読みながら、
そういえば・・・、
と思い思いすることがありました。

朝日歌壇
 「一族の本家無くしていいかしら」言い淀みおり「いいよ義姉さん」 (松本市)真木和彦

我が家も似たようなものです。
これが最初の「そういえば・・・」


読売歌壇
 父さんと並んで寝るのは最後だよ。北を枕に娘(こ)が床を敷く  倉敷市 江口政子

北枕、
父と母、
時を隔てて、
それぞれ経験しましたが、
添い寝をするような、
そんな時間的余裕も心のゆとりも、
その時の私にはありませんでした。

  死に近き母に添い寝のしんしんと遠田のかはづ天に聞こゆる  斎藤茂吉


そういえば・・・は、
北枕のみで、
私の場合、
添い寝は、
そういえば・・・にはなりませんでした。 


毎日歌壇
 「すさまじ」は「しらーっとした感じ」と訳す高校古典ラジオに聴けば  日立市 木村恵子

そういえば、
いつだったか、
娘が言っていました。

  「かなし」は、
  関西の人が言う「かなんなぁ~」
  に近いんだって。



毎日歌壇 
 金髪の同級生がパンおかず牛乳を三角に食べてる  狭山市 片桐あやめ

そういえば、
遠い昔、
小学校の給食、
金髪はいなかったけれど、
みんな、
そういうふうであったような・・・。


この歌を選ばれたのは加藤治郎さんですが、
加藤治郎さんの他の選歌、
私には、
いささか難解でした。

 児童用辞書「人間」のすぐ下に「妊娠」があり児童用辞書 福山市 秋山佳慧

加藤治郎さんの「評」
  何か不条理を感じる。
  上下の児童用辞書に強い圧力があるのだ。
  生存の根源が剝き出しになっている。

 
 人生と時の関係がわからずに旅先で髪を切りました。  東京 十 波 一

 誓いません。今日と明日とあさっての3日で構成されてる世界  横浜市 綾川あすか

 等計に食われて僕らは生きていく散布図が地の飛沫みたいだ  安中市 中村佐貴

 ひびわれた終電の小田急線でどうして鳩を抱きしめている  狛江市 森永理恵

 封筒に藤のはなびら吹き入れてさよならわたしの小さな微熱  高知市 矢野優理恵 

 いいね 何が? 装丁が ああ、皮膚のこと? 皮膚のこと。そう、皮膚のことだよ
                                さいたま市 雨月茄子春

そういえば、
加藤治郎さんの選歌、
みんな、
ちょっと難しかったなあ。

それが、
今日の「そういえば」のしめくくり。

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