よぶこえの引き出し

【あの日】2019・9・12

2019年09月12日

《あの日》
昨日は9・11という「あの日」でした。

その9月11日、
『あの日からの或る日の絵とことば』(創元社)
という本を届けていただきました。

いわゆる「見計らい」です。

「いい本ですから、購入します」
とお答えして、
昨夜から少しずつ読み出しました。

この本の「あの日」は、
9・11ではなく、
3・11でした。
 【あの日】2019・9・12



少しだけ引用します。

     野球少年   長谷川義史
 
  その少年に出会ったのは3月11日の震災から3ヶ月ほど経った日でした。
  その日、
  僕は震災前に訪問した石巻の小学校の校門の前に立っていました。

  小学校の周りの家は崩壊し、
  電柱は倒れ、
  車が横倒しになったままでした。
  海の方はもっともっとひどく辛くて、
  直視できないような状況でした。

  なんだか恐る恐る学校に近づくと、
  校庭から子供たちの声が聞こえてきました。
  津波の跡が残るまだデコボコのグランドで、
  少年野球の子供たちが元気に練習していました。
  「子供ってすごいなあ」
  僕は思いました。
     (中略)
  Sくんは、
  なんと地震の後の津波で、
  自分の家の屋根の上にお父さんと乗って流されたそうです。

  流されてどこか違う家に衝突し、
  そのかろうじて建っている家の屋根に乗り移って助かったというのです。
     (中略)
  なかなか救助されず、
  2日間、
  その家の屋根で耐えたと言います。
     (中略)
  今年の夏、
  僕に石巻の小学校の先生から連絡がありました。
  それは驚きの嬉しい知らせでした。

  なんとあの時、
  デコボコのグランドで野球をしていた、
  あの2年生だったSくんが、
  この夏の甲子園に出場するというのです。

  僕は涙が出てきました。
  
知らない子どもなのに、
読んだだけで、
涙がにじみました。

昨日は、
そんな日でした。
そして、
今朝は、
こんな朝です。  

 【あの日】2019・9・12
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