よぶこえの引き出し

【さもありなん】2019・9・23

2019年09月23日

《台風の夜》
『嵐の夜』という絵本がありました。
同名の映画もありました。

昨夜は、
「嵐の夜」というより、
やはり、
「台風の夜」というほうがふさわしい夜でした。

台風に備えて、
シャッターを下ろしましたので、
風や雨の音は、
さほど大きくは聞こえませんでしたが、
なるべく起きていようと心に決めたので、
明け方ちかくまで起きていました。

枕許に三冊の本を置いて、
取っ替え引っ替え、
うつらうつらしながら読みました。

まずは、
香山リカ『眠れぬ森の美女』(河出書房新社)

帯に、
  精神科医 香山リカによる
  初の小説セラピー
とあります。

 【さもありなん】2019・9・23


こんな箇所があって、
“さもありなん”
・・・と思いました。

「な」は強意の助動詞「ぬ」の未然形。
「む」は推量の助動詞「む」の終止形。

「む」は現代では「ん」と表記することが多いので、
本来は「さもありなむ」ですが、
現代風に「さもありなん」としました。

「ほんとにほんとにそうだろうなあ」

話が逸れました。

「さもありなん」の箇所を引用します。

  仕事を持つシングル女性たちのいちばん不安は、
  なんといっても「老後」

  経済的に自立し、
  社会からも認められて、
  今は楽しく生きていても、
  「年を取ったらやっぱり寂しくなるのではないか」
  「病気になったときひとりぼっちだったら心細いだろう」
  「住む家はどうしよう」
  と彼女たちの悩みはつきない。

  
  まわりから見れば、
  きらびやかな人生を送るきみ子だが、
  その心の中には、
  森で道を見失って、
  「おかあさん」
  と泣いている小さな子どもが住んでいる。


「私」は、
「きみ子」が「自分」や「人生」を語り出して、
場の空気が重たくなったとき、
話がシャンパンに移ってほっとする場面があります。
  あるものについてのディテールの話は、
  ときに場の空気を和(なご)ませ、
  救いになることがある。

ここでの「ディテール」は、
「詳細」「細部」ではなく、
「些末」「些細」の意味でしょう。

この部分を読みながら思い出したことがありました。、
先日の新聞の、
「全国書店ランキング続々第1位」という目を引く広告のことを・・・。

田中泰延『読みたいことを、書けばいい。』(ダイヤモンド社)

こんな宣伝文句が添えてありました。
  *SNS、ブログ、メール、就職、仕事・・・
   「なに」を、「どうやって」書けば人の心に伝わるのか?
  *人生が変わるシンプルな文章術
  *「書く」ことで自分の可能性と世界が変わる文章術
  *書き手ではなく、読み手として書く
  *つまらない人間とは「自分の内面を語る人」
  *物書きは「調べる」が9割9分5厘6毛
  *ネット情報を疑え。一次資料に当たる重要さ
  *エントリーシートは自分のキャッチコピー
  :書くことはたった一人のベンチャー起業

「ディテール」の話、
この広告を読むと、
「さもありなん」が、
「さもさもありぬべし」に強まりました。


後の二冊については、
またの話します。

ただ、
本の題名だけは書いておきます。

宮城谷昌光『春秋の名君』(講談社)
遠藤周作『年々歳々』(PHP研究所)

 【さもありなん】2019・9・23
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