よぶこえの引き出し

【雨のち晴れ】2019・9・28

2019年09月28日

《雨のち晴れ》
朝から雨でした。
よく降る雨でした。

出かける気力もなく、
朝から試験問題作り。

朝からというより、
ここ数日ずっと問題作り。

たとえば、
こんな問題。

司馬遼太郎の小説『項羽と劉邦』(新潮社)から。
  次の①~⑤の中から、劉邦とおぼしき人物の言動を全て選んで、その記号で答えなさい。
   ①「あんなやつが皇帝か」と、巡行中の始皇帝を見て思ったのは彼ばかりではなかった。
   ② 「皇帝というのは、こういうことができる存在なのだ」と、かれはおもっていた。
   ③「あの男が、皇帝を称する政(せい)か」と、対等の意識で彼の横顔を見た。
   ④大きく息を吐いてから「男はこうでなきゃだめだ」とつぶやいた。
   ⑤「彼取って代わるべきなり」と大声で叫び、同行の叔父を狼狽させた。
   ⑥無用な対抗心など持たず、ただむやみに首をふってうらやましがった。
   ⑦「この男さえたおせばおれがこの男になれる」と思った。

試験をする前に手の内を明かすようなものですが、
大丈夫、
取捨選択した結果、
カットした問題ですから。



《髙田郁(たかだ かおる)》
新作が発表されるとすぐに欲しくなる本、
以前はたくさんありましたが、
このごろは、
年を取ったからか、
とんと少なくなりました。


そんな中で、
珍しく、
新作発表を待ち望む小説があります。

髙田郁『あきない世傳 金と銀』(ハルキ文庫)
今回は、
その第7弾「碧流篇」

 【雨のち晴れ】2019・9・28



問作に疲れたとき、
ご褒美のように手を伸ばします。

髙田郁という人、
深いことを言うとき、
気の利いた表現ができる人です。

まだ読み始めたばかりですので、
二か所のみ引用します。

  心を受け取れば、心を返す。

  蟻(あり)の眼ぇだけやと、目先の勝ち負けにこだわるだけで終わってしまう。
  鶚(みさご)の眼ぇだけやと、地に足が着かんさかい取りこぼしも多いし、
  周囲に不満も増える。


そんなこんなをしていたら、
昼過ぎから晴れてきました。

雨上がりの庭に精霊バッタ。

   海の霧 精霊ばった濡らしたる  宇佐美魚目

 寂しさの極みに青き飛蝗とぶ  橋本多佳子

いずれも、
『カラー図説 日本大歳時記』(講談社) 

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