よぶこえの引き出し

【二冊】2019・10・29

2019年10月29日

《二冊》
久しぶりに古本屋さんに入って、
懐かしい本と、
初めての本を買いました。

また出会ったことが嬉しくて、
心から笑い、
心から泣くって、
どういうことか分かりたくて。

鹿島和夫『一年一組せんせいあのね それから』(理論社)
畠山健二『本所おけら長屋』(PHP文芸文庫) 

 【二冊】2019・10・29



『一年一組せんせいあのね』シリーズの第三弾です。

『一年一組せんせいあのね』
『続 一年一組 せんせいあのね』
『一年一組せんせいあのね それから』
『一年一組せんせいあのね いまも』
と続いたと思います。


おもしろおかしい「あのね」は次の機会にして、
ここでは、
子どもって、
よく観ているなあと思った「あのね」を、
三篇だけ紹介します。

     おばあちゃん
              てしま あいこ
  おばあちゃんとおかあさんといっしょに
  たるみにいってラーメンをたべました。
  おかあさんはわたしのぶんもたべて
  ブタマンもたべました
  「びょうきなのによくたべるね」というと
  おばあちゃんが「だからげんきでいられるのよ」
  とわらってこたえてくれました
  おかあさんがわたしをやさしく見るように
  おばあちゃんの目がおかあさんを見ていました


     赤ちゃん
            ふじばやし あゆみ
  ニュースをみていると
  とうけつじゅせいらんで
  二人の赤ちゃんが生まれました
  れいか196どでこおらせて
  赤ちゃんが生まれたのよ
  わたしも
  はいらんそくしんざいで生まれました
  おかさんは赤ちゃんができなくて
  びょういんへかよったそうです
  びょういんの先生とけんびきょうをみたそうです
  おかあさんはびょういんへいくのがいやでしたが
  おんなのこがほしくてがまんしていました
  わたしはいもうとがほしいけど
  おかあさんはもうとしだからゆるしてあげます


     パパ
            てらだ まさし
  ひさしぶりに
  パパがプレゼントをもってきてくれました
  ぼくがあそびにいっているときです
  パパはけっこんしたんだって
  あいての人に4さいの子どもがいる
  パパもついにけっこんしたのか
  ぼくはその子にあいたいなあ
  おとうとになるんだよ
  ぎりのきょうだいというんだって
  ママもいい男をさがすばっかりいっています
  ぜったいにパパよりいい男をさがすんだって



『本所おけら長屋』の帯に、
こんな言葉が・・・。
  心から笑い、
  泣いたこと
  ありますか?

短編集です。
「その六 はこいり」から、
おしまいの部分だけ引用します。

    わたしはこう思う。
    亡くなったおっかさんが美濃吉さんを見守ってくれてる。
    おっかさんを助けたい一心でやったことじゃないか。
    きっと、
    おっかさんが助けてくれるさ。
    それよりも、
    よくあたしに話してくれたね。

  この話は井戸端ではできない。
  お里はそう思った。

    
    お里さんのおかげです。
    ありがとうございました。

    言っただろ。
    おっかさんが必ず助けてくれるって。
    すべてが丸く収まったじゃないか。
    ねえ、
    二番番頭さん。

  お里は、
  美濃吉が次に発する言葉を待った。
  旦那様からの信用が厚くなり、
  番頭に出世したことで、
  少しでも浮かれていたら、
  横っ面を引っ叩(ぱた)いてやるつもりだったからだ。
  それが真実を知っている唯一の人としての責務だ。
  さて美濃吉はどう出るか・・・。

    私は、
    一生苦しんでいくのだと思います。
    店の金に手をつけた男が番頭に出世するなんて、
    たとえ、
    おっかさんが許しても、
    お天道様(てんとうさま)が許しちゃくれません。
    私がするべきことはただひとつ。
    直向(ひたむ)きに、
    真面目に、
    成戸屋のために働くことだけです。

  お里が大きく吸い込んだ空気は、
  なぜかとても新鮮だった。



《今朝の空》   

 【二冊】2019・10・29




《昨日の空》

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