よぶこえの引き出し

【時の名前】2019・12・15

2019年12月15日

《時の名前》
今井書店の井上さんに紹介されて、
その場で購入を決めた一冊。

今朝、
まだ暗いうちから読み始めて、
外が明るくなったころ、
ほぼ読み終わりました。

『時の名前』(角川書店)
文:三枝克之
写真:西美都 

【時の名前】2019・12・15



ギリシャ神話に起源のあるものが三つ載せてあります。

クロノス
 時間神の名。
 古代ギリシャで時間を神格化したもの。
 
 クロニクル(年代記)
 シンクロナイズ(同時にする)
 などの語は、
 このクロノスに由来する。


カイロス
 ギリシャ神話のチャンスの神。
 前髪が長く、
 後頭部は禿げた美少年とされ、
 「好機は逃すな」
 の意で使う。
 「チャンスの神様には前髪しかない」という諺は、
 このカイロスの風貌に基づく。


ホーラ
 ギリシャ神話で時間や季節、
 または秩序や平和を司る三姉妹の女神。
 英語の時間(hour)の語源。


四次元
 次元が4であること。
 一般的には、
 線である一次元、
 面である二次元、
 立体、空間である三次元に、
 4つめの次元として時間をまとめたもの。
 
 アインシュタインの特殊相対性理論における時空世界。
 すなわちこの宇宙。

時間という次元、
その意味が、
いまひとつ解りませんでしたが、
この説明で氷解しました。

私たちが生きているこの三次元の空間が、
時間の流れに乗っかって過去から未来に移動している。
それどころか、
四次元の時空が空間的に無限に膨張し続けている。

かから、
「すなわちこの宇宙」なのです。

四次元、
なんだか抽象論と思っていましたが、
なんのことはない、
生きているこの世界、
存在しているこの世間、
きわめて具体的なこの現実のことでした。



《詩歌》
時間の名前が織り込まれた詩歌等が、
たくさん引用されています。

その中から、
琴線に触れたものをいくつか紹介します。

  わすれ居て久しきものかたそがれの底かに真白きわが足を見つ
                        (岡本かの子「わが最終歌集」)

  星と枯草が話してゐた
  静かな夜更け
  私のまはりにだけ
  風が吹いてゐた
     (壷井繁治「壷井繁治詩集」)

  暁の薄明に死をおもふことあり除外例なき死といへるもの
                   (斎藤茂吉「つきかげ」)

 
  波なぎしこの平らぎの礎(いしずゑ)と君らしづもる若夏(うりずん)の島
                              (美智子上皇后)

「うりずん」は、
  沖縄で、
  3月から4月にかけての、
  春から初夏に当たる時期。
 
  「潤い浸む」が原意とされ、
  大地が雨で潤い、
  万物が瑞々しく育まれる季節。


  今にして人に甘ゆる心あり永遠(とわ)に救われがたきわれかも
                    (三ヶ島葭子「三ヶ島葭子歌集」)


  多くの人が今度の戦争でだまされたという。
  みながみな口を揃えてだまされていたという。
  私の知っている範囲では、
  おれがだましたのだといった人間はまだ一人もいない。
                 (伊丹万作「戦争責任者の問題」)



《おまけ》
昨日いただいて、
今朝いただいた、
「一花(いっか)」というお菓子。

趣のある名前の、
趣のある色合い、
趣のある味わい、
・・・でした。 

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