よぶこえの引き出し

【暗旅】2020・1・9

2020年01月09日

《暗旅》
ここ数年、
年が改まると、
昨年1年の疲れがどっと出たかのように、
体がだるく、
心がどんよりします。

それを、
勝手に、
暗愁と呼んでいます。

暗愁、
なんとなく心が晴れないことをいうそうです。

暗愁という言葉が文章として残っているのは、
昭和20年7月、
永井荷風が疎開先の岡山で書いた文章が最後だそうです。
・・・五木寛之が言っていました。

そうして、
例年、
暗愁から復活するのが、
だいたい今日ぐらいからです。


その暗旅の合間に読んだ本から、
心に残った個所を、
思いつくまま引用します。

  でも、
  本当の本当のところでは、
  私は、もっと生きたい。
  そう思うことが、
  欲張りみたいにも感じていた。
  往生際が悪くて、
  みっともないと。
  でも、
  そうじゃない。
  死を受け入れることは、
  自分が死にたくない、
  という感情も含めて正直になることだった。
  少なくとも、
  私にとってはそうだった。
      (小川 糸『ライオンのおやつ』ポプラ社)


  たとえ絶望の中にあっても、
  人が見つける「光」・・・
  それを
  ちいさなかみさま
  と名づけました。
      (石井光太『ちいさなかみさま』小学館)


  あたしにもしものことがあったら・・・
  うちの一階の仏間の天袋(てんぶくろ)の、
  いちばん奥にあるみかん箱の中に、
  ワシントン靴の靴箱が入ってて、
  その中にとらやの最中の箱があって、
  その中に山本海苔の缶が入ってるから、
  それを開けて・・・
      (原田マハ『あなたは、誰かの大切な人』(講談社文庫)

  
  「だって、保育園は、親がどうしても見られないかわいそうな子が行くところでしょう?」
      (中略)
  莉枝未が初孫だったこともあり、
  母も心配だったのだろうということはわかる。
  自分が育児の先輩だという自負もあったのだろう。
  それでも、
  母から言われた「かわいそうな子」という言葉のショックは、
  志保からも裕からも、
  なかなか抜けなかった。
      (辻村深月『クローバーナイト』光文社)



  それを決めるのは患者さんよ
  私達じゃない
  私達の仕事に
  正解があるとすれば
  決めるのは患者さんよ

  私は自分が
  やりたくない事は
  しない
  頼まれても断る

    足元
    足元が
    わかった気がする
      (広田奈都美「ナースのチカラ」:『フォアミセス』2月号 秋田書店)



  でも、
  その先生や国語の先生の影響もあって、
  「精霊流し」がヒットしたとき、
  自分のために最初に買ったのは、
  「岩波古典文学大系」でした。
  「カネに余裕ができたら、古典文学大系を持っておけ」
  と言われていたのです。
    (さだまさし〈対談〉「『笑い』というインフラ」:『図書』1月号岩波書店)



《今日》

【暗旅】2020・1・9



《昨日》 

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虹 

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月 

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