よぶこえの引き出し

【新年の引用】2020・1・10

2020年01月10日

《新年の引用》
まずは新聞から。
1月5日の朝日新聞「折々のことば」
  決意した不幸な母子心中から、
  みじめな母親を救ったのは、
  抱いていた嬰児(えいじ)の微笑であった例も少なくない。
                  (霜山徳爾:臨床心理学者)

鷲田清一さんのコメントもまた、
この言葉に劣らず秀逸です。
 この期(ご)に及んでも、
 嬰児は安心しきって、
 これから起こるであろうことに、
 身を委(ゆだ)ねようとしている。
 「たおやかな蕾(つぼみ)がひらく」がごときこの微笑にふれて、
 母親はおもわず、
 「帰郷への遠いうながし」を感じたはずだと、
 臨床心理学者は言う。
 「人間の業(ごう)の重い翳(かげ)がさし始め」る直前の自分に再会したかのように。


1月6日の毎日歌壇から。
  卒業式は欠席しよう。吹き抜けを吹き抜けられない風だから。 東京 荒川裕香

3月の卒業式を欠席すると宣言する高校生がいて、
その高校生のお母さんと私は出席しようと話していて、
そういうことがあって、
この歌が心に留まりました。


1月8日に届けていただいた本から。  
エドゥアルド・ガレアーノ『日々の子どもたち』(岩波書店)
副題があります。
「あるいは366篇の世界史」    

 【新年の引用】2020・1・10


元日から今日までの「一日一話」より、
最も心に刺さった一文を引用します。

1月1日「今日」
  だからわたしたちは、
  今日が日々の始まりであるかもしれないと信じるし、
  今日が野菜市場の彩(いろど)りのように華やかな日であることを望む。

1月2日「火から火へ」
  火は、
  地獄で生まれた言葉の最終目的地だった。

1月3日「移動する記憶」
  人類の歴史のなかで、
  戦争や大火に耐えるような書物の避難所はひとつしかない。

1月4日「呼び寄せる大地」
  しかし、
  この怖がりの男には、
  調べて、
  明らかにするだけの勇気があった・・・
  天体の動きを、
  光の構成を、
  音の速度を、
  熱の伝導を、
  そして重力の法則を。

1月5日「命じる大地」
  アラバマで黒人を初めて受け入れた珍しい大学で講義している。

1月6日「待ち受ける大地」
  彼の大地は彼を待っていた。

1月7日「孫娘」
  ラファエル・バレットの孫娘ソレダーは祖父の口癖をよく思い出した。
  「もし善が存在しないのなら、作らなくてはならないんだよ」

1月8日「さようならは言わない」
  何か言うことはないかと問われ、
  自分のことばで答えた。
   「マナビ」
  何もない、と。

1月9日「簡潔礼賛」
  48ページからなるこの本は、
  空気や水よりも速く広まり、
  アメリカ合衆国独立の立役者になった。

1月10日「距離」  
  と、砂漠になかに自転車に乗った少女が忽然と現れた。



《今日》   

 【新年の引用】2020・1・10  【新年の引用】2020・1・10  【新年の引用】2020・1・10



《昨日》 

 【新年の引用】2020・1・10
ページトップへ