よぶこえの引き出し

【新春にあたって】2020・1・11

2020年01月11日

《新春にあたって》
昨日、
古本屋さんで買った古本、
『野上彌生子全集』(岩波書店)の第21巻に、
「新春にあたって」という短い文章がありました。

1955年の「新春にあたって」でした。
戦争が終わって10年、
野上彌生子は、
どんな思いだったのか、
少し気になりました。

  終戦以来、
  ちょうど十年のお正月である。
  顧みればこの十年間という昨日までの客にむかって、
  私たち日本が当然なさなければならなかった対遇の仕方をして来ただろうか、
  不幸にして答は否であり、
  真に国を愛し、
  憂い、
  それの遠い将来に心をいたす人々が、
  こうあらせたいと念じた扱い方とは、
  一切が反対に処遇されたことが、
  政治、
  外交、
  文化、
  教育、
  経済の各分野にわたって、
  最近わけても著しく現れている歪曲、
  貧困、
  後退のすべての原因というべきである。

2020年の新春にあたって感じる世相が、
戦後10年にして、
すでに深刻に存在していたのだと、
ある重たい感慨がありました。 

文中に「客」とあるには、
その少し前に、
こういう個所があるからです。

私は、
むしろ、
この部分に、
より強く心惹かれました。
  年頭に際して、
  誰もが漠然と感ずる新しい期待、
  新しい希望は、
  名前だけは知っており、
  また訪ねて来ることは分かっていても、
  顔も気だてもはっきりしない客を迎えるのに似ている。


《今朝》

【新春にあたって】2020・1・11



《昨日》 

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《昨夜》
ほぼ満月ですが、
カレンダーを見ると、
満月は今夜だそうです。 

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