よぶこえの引き出し

【書斎】2020・3・8

2020年03月09日

《書斎》
一日かけて、
一階の一間と、
二階の二間を模様替えしました。

そのついでに、
思い立って、
ずっと二階にあった机を、
離れに下ろしました。

離れが、
いっぺんに書斎らしくなりました。

書斎らしくなった部屋で、
机の前に座ったら、
あの本を思い出しました。

小泉信三『海軍主計大尉小泉信吉』(文春文庫)
  信吉の勉強室は、
  二階の私の書斎の真下にあった。

  庭に、
  ただ一本の木蓮の花が咲いていた頃のこともあり、
  同じく、
  一本の小さな柿の木に、
  数え切れない程の実がなって、
  細い枝が千切れそうに垂れ下がっていた頃のこともあり、
  庭の土の乾き切った盛夏の真昼のこともあった。
  窓の外から窺(うかが)えば、
  薄暗く見える部屋の隅の回転椅子に腰かけて、
  机に倚(よ)っていた信吉の読書の姿は、
  今も目に残っている。

何度読んでも、
いい空間だと思います。

何度読み返しても、
いい父と子の姿に思えます。


一日、
一階と二階を、
何度も何度も上り下りし、
足腰も痛くなりましたが、
心地よい疲労でした。 

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