よぶこえの引き出し

【折々のことば】2020・3・17

2020年03月17日

《折々のことば》
今月前半の言葉は、
3月11日を挟んでいたからなのでしょうか?
東日本大震災に関する言葉がいくつもありました。

3/ 1
  私たちみたいな者にとっては、
  壊れたものは壊れたものとして、
  そのまま残るんです。
      (震災で妻と娘を喪った男性)

鷲田清一さんが付け加えています。
 彼は「復興」という言葉が嫌いだと言う。
 やり直しはもうないからと。



3/  2
  震災で確信したの、
  人は自然から学ばないと、
  絶対に賢くなれない。
      (八巻寿文:やまき としふみ)

鷲田清一さんが、
八巻さんの言葉を補足しています。
 作品は、
 自分が作るというより、
 「ぴちょんってしずくが垂れる」ようにやってくると、
 美術家・照明家は言う。



3/11
  誰かを助ける力が欲しい、
  痛切にそう思った。
      (安東量子)

鷲田清一さんが、
彼女のことを述べています。
 福島県いわき市で植木屋を営む女性は、
 原発事故で生活の「底が抜けた」人々の間で、
 「最後まで悲しむ人間になろう」
 と思った。



3/ 12
  彼は、
  最初の集まりの最後に言い残した「また来ます」という約束を、
  律儀に守り続けた。              (安東量子)

鷲田清一さんが補足しています。
 福島第一原発事故の後、
 どの専門家も放射能汚染のリスクについて説明してから、
 「決めるのは、あなたです」
 と言って帰っていった。

 国際放射能防護委員会に属す一人のフランス人は違った。
 「愚直に足を運び、困りごとを聞き、一緒に考え」てくれた。
 だから同じ助言もまっすぐ聞けた。



3/ 4
  痛みがわずかに和らぐことによって、
  ようやく痛みを感じることができるような、
  そんな感覚だった。     (砥上裕樹)

鷲田清一さんの説明によると、
この言葉、
砥上さんの小説『線は、僕を描く』の中にある一節だそうです。

小説の主人公は、
高校時代に、
事故で両親を失った若者だそうです。 


書き写しながら思いました。
世間には、
愚かしい人も多いけれど、
世の中には、
まっとうに生きている人も、
ちゃんといるのだと・・・。

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