よぶこえの引き出し

【続・そういうこと】2020・3・22

2020年03月22日

《続・そういうこと》
昨日の山陰中央新報、
連載小説、
辻村深月「琥珀の夏」(129)に、
こんな場面がありました。

「けん先生」が、
さっきまでいた泉のことを、
「ノリコ」に尋ねます。
  とんぼは何匹くらい見た?

「ノリコ」が答えます。 
  二回か、三回で、くっついて飛んでいるのもいました。

「けん先生」がにやっと笑いかけて言います。
  ぼくが何匹くらい?
  って聞いたのに、
  回数で答えたね。
  どうして回数なんだろう?
  って思ったら、
  二匹一緒に飛んでいるのも見たからって、
  すぐに説明してくれた。
  よく見てるね。

「ノリコ」は、
それを聞いて、
こう思います。
  それは、
  大人が、
  ちゃんと自分の話を聞いている、
  ということに関する嬉しさと、
  驚きだった。
  
  そんな大人の人は、
  初めてだった。
  他の、
  たとえば、
  学校の担任の先生だったら、
  「何匹って聞いたら、匹で答えて」って、
  注意されただろうという気がする。

そういうことだろうな・・・と思います。
子どもが、
大人を信じるのは、
そういうことなんだろうなと思います。

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