よぶこえの引き出し

【持ち味】2020・4・3

2020年04月03日

《持ち味》
紙上歌壇を読んでいて、
ここにも持ち味があるのだなあと思いました。

新聞に持ち味があるように。
紙上歌壇に持ち味があり、
それはもちろん、
それぞれの選者の持ち味でもあるのでしょうが・・・。

それ以前に、
作者の持ち味が一番でしょう。

そして、
選ばれた歌を拾う私の持ち味でもあるのです。



朝日歌壇
 下級生出てはならない卒業式スイートピー持ち校門に立つ (神戸市)藤井啓子

 子のいない教室 机並べてもチャイム鳴る音の響きさみしい (高崎市)上内織恵

 春日(しゅんじつ)やひっそりとした教室に自主登校の生徒が一人 (名古屋市)福田万里子

 なくなるかもしれなぬ卒園式の歌を吾子はお風呂で練習しており (奈良市)山添聖子
 
 こえのなききょうしつ・つくえ・いす・こくばん・くつばこ・こうてい・みみすましまつ
                                 (東京都)窪田貴子



読売歌壇
 被災地と呼ばれるだろうか東京もいつか こんなに青空の日に  東京都 西出和代

 ウィルスより人の心が恐ろしとドラッグストアの店員語る  狭山市 奥薗道昭

 どの国も危機にて帰国遠のきし子の地球儀のほこりを払う  静岡市 柴田和彦

 良いことがある筈だった2020年 空欄のまま二月を切り取る  大津市 松井美枝

 「お一人様お一つ限り」を「とりあへず買へ」と訳せり心の辞書は  長野市 原田浩生



毎日歌壇
 不安がる明日入院の友の背をダウンの上からバンと叩けり  大阪市 小熊光子

 『夜と霧』カウンセラーに薦められ通勤電車の片隅で読む  調布市 斎藤理津子

 みづからの手をみつめつつ その先の世界をいまは知らぬみどりご  池田市 寺阪誠記

 高校に通ふわれらに車掌として辞儀せし少女クラス会に来ず  青森 亀山昭子

 なんでも食べる、涙しながら食べる、食べる 負けまくっても折れないように
                                 所沢市 神田 望  

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