よぶこえの引き出し

【花のかず】2020・6・24

2020年06月24日

《花のかず》
昨日、
再放送のドラマに、
岸田京子が出演していました。

ふっと、
詩人の妹、
岸田衿子の詩が読みたくなりました。

     花のかず
  ひとは行くところがないと
  花のそばにやってくる

  花は咲いているだけなのに
  水はひかっているだけなのに

  花のかずをかぞえるのは
  時をはかる方法
  ながれる時に長さを

  ひとは群れからはなれると
  花のそばにやってくる
 
  花は黙っているだけなのに
  水はみなぎっているだけなのに


今朝の庭を一巡りして、
新しく咲いた花を見つけました。


ムラサキシキブと朝顔

【花のかず】2020・6・24 【花のかず】2020・6・24



そういえば、
先週の「平田オリザが読む 古典百名山」NO.81は、
「北原白秋『邪宗門』」でした。

その中に、
こんな一節がありました。
  象徴詩とは、
  心情や主張をそのまま言葉にするのではなく、
  自然をそのまま描写するのでもなく、
  文字通り「象徴的に」描いた詩のことだ。
  それは一見、
  何を書いているのか、
  何を伝えたいのか解らない。

いってみれば、
この「わからなさ」が、
象徴詩のいのちなのだと思います。

してみると、
「花のかず」という詩も、
そのいのちは「わからなさ」なのでしょう。

でも、
頭でのわからなさが、
心ではわかることもあるのです。

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