よぶこえの引き出し

【6月のカレンダー】2020・6・30

2020年06月30日

《6月のカレンダー》
台所のカレンダー、
6月は今日でおしまいです。

めくる前に、
今朝の空気のように、
しっとりと眺めてみました。

旧暦6月27日は秋成忌、
6月13日が桜桃忌、
6月23日が独歩忌です。

上田秋成について、
三島由紀夫は、
「雨月物語について」(新潮社『三島由紀夫全集』第25巻)という文章の中で、
「モラリストと美学者との結婚」を企てた人だとしています。

人はだれしも、
人としての道を歩もうとしながらも、
時として、
美に魅せられて人の道を踏み外してしまう危うさをもっているものです。
上田秋成には、
彼の代表作『雨月物語』にはとりわけ、
そういうものがあると言っています。

天才・三島由紀夫の言葉を、
凡人の頭で言い換えると、
そういうことなのかなと思います。 


また、
小松和彦「怪異の美学」(小学館『日本古典文学全集』第78巻)に、
こんな一節があります。
  秋成の描き出す怪異は、
  人を戦慄させることだけにあるのではなく、
  それを通じて、
  人間の心、
  しばしば指摘されるように、
  人間のエロスと共同体のエートスの葛藤、
  そして、
  そこに立ち現れる「妖しい美」を描き出そうとしているところに大きな特徴があった。

門外漢の心には、
三島由紀夫とほぼほぼ同じことを言っているように思われます。


桜桃忌と独歩忌にちなんで、
私は、
太宰治の作品の中では、
「富嶽百景」が最も好きです。

「生きていていいのかな?」
太宰がそんなふうにつぶやいているように思われるので・・・。


国木田独歩の中では、
「武蔵野」よりも「忘れえぬ人々」が好きです。

たまたま出会って、
二度と会うこともなかった人とか、
風物に溶け込んだように見える人とか、
そんな人が、
「どうしてなんだろう?」と思いつつ、
忘れられないと言っているからです。


忌日以外では、
「定家葛(ていかかずら)の花」についての記述が心に残りました
  初夏に、
  風車のような、
  花びらの捩(ねじ)れた白~淡黄色の、
  小さな花を咲かせる。
  葛性で、
  式子内親王の墓に絡(から)んだこの葛は、
  藤原定家の恋情が化身(けしん)したものだったという、
  謡曲「定家」にちなむ名称とも。
  花の甘い香りに、
  切ない思慕が連想される。

【6月のカレンダー】2020・6・30



《今朝の空》
早朝から、
降ったり止んだりですが、
そのうち上がるでしょう。

青空が、
ときどき、
そして、
ところどころ、
見えたりしますから・・・。

【6月のカレンダー】2020・6・30 【6月のカレンダー】2020・6・30



《白茄子(しろなす)》
庭の白茄子、
昨日はじめて食べました。

そもそも、
白茄子なんてものがあること、
今年はじめて知りました。

我が家では久しぶりのてんぷらにして・・・。

生まれてはじめての白茄子は、
もっちりとした食感で、
これはこれで、
なかなかおいしい・・・。

【6月のカレンダー】2020・6・30
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