よぶこえの引き出し

【過去には】2020・7・5

2020年07月05日

《過去からは》
昨日の未明、
うつらうつらしながら、
ラジオ深夜便を聞いていたら、
突然、
大雨のニュースに切り替わりました。
「熊本に特別大雨警報」

それから、
チャンネルを切り替えながら、
ほぼ一日中、
大雨洪水浸水決壊土砂崩れ流出避難捜索救助・・・を見ました。

今日の朝日新聞「天声人語」によれば、
三年前の今日は九州北部、
一昨年の明日は西日本が、
豪雨に見舞われたそうです。

そうして、
「天声人語」は、
こんなふうに結んでいます。
  「数十年に一度の雨」を、
  我がこととして考えねばならぬ季節である。

未来のことは分からない。
でも、
過去からは学ぶことができる、
・・・のです。



《過去には》
届けていただいた「ランティエ」(角川春樹事務所)の7月号を、
ほぼほぼ読みました。

いつもは「特集」を心して読みますが、
今回は「連載小説」に心込めました。

これまで、
連載小説はあえて避けていました。

というのも、
月刊誌なので、
つづきは一ヵ月待たなくてはならない。
それが、
生来せっかちな私には・・・。

今回、
あさのあつこ「えにし屋春秋」第3回、
柴田よしき「お勝手のあん」第6回、
坂井希久子「居酒屋ぜんや」第3回、
この三作、
おもしろく読みました。

なかでも、
「お勝手のあん」は何か所も傍線をひきました。

その何か所から数か所を引用します。
  高いところにつく実に手を伸せば、
  その実が高いところにあるのだ、
  ということがからだでわかります。
  それだけでも、
  手を伸ばした甲斐はあったということです。


  お小夜さまが手を伸ばし、
  やすの髪に触れた。
  「お小夜さま、手が汚れます」
  髪を洗うのは十日に一度ほど、
  掃除をする時にはてぬぐいを被(かぶ)るけれど、
  埃(ほこり)や汚れがついている。
  「手なんか洗えばいいのよ」
  お小夜さまの掌が、
  優しくやすの髷(まげ)を撫でた。


  わたしが医者になれたら、
  あんだって料理人になれる。
  いつか、
  品川一の女料理人になって、
  この百足屋の台所を仕切ってちょうだい。

  わたしも女蘭方医になって、
  たくさんの人を助けるわ。
  
  今は夢の話だけど、
  いつかこの世が変る時が来て、
  夢が本当になる日も来るかもしれない。


来月号が待ち遠しい。
でも一ヵ月は長いなあという気もします。

そんなこんなの夕方、
学園に用事があった妻が、
「学園」で文庫本を見つけて買ってきてくれました。

柴田よしき『お勝手のあん』①(ハルキ文庫)と、
柴木よしき『お勝手のあん~春を待つころ~』②(ハルキ文庫)の二冊。

文庫本になっていたのです。

そのときが来るまでは未来には行けませんが、
文庫本で過去には行けます。

 【過去には】2020・7・5



物語の発端。
本当は力仕事のできる「小僧」が欲しかったのに、
「口入れ屋」が間違えて、
女の子がやってきます。
それが「あん」です。

『赤毛のアン』と同じです。

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